2010年03月20日

地下鉄サリン事件の記憶

いつもと何も変わらない朝だった。
嫁さんが先に会社に向かった後、出かける準備をする。

<JR私鉄各線平常どおり運転しております。
続いて高速道路・・・>

テレビをOFFにして出かける。

千代田線のいつもの時間のいつもの車両。
最終車両の一番先頭側のドアを入ったすぐの席あたり。
数年の間でいくつか場所を変えたが、その場所に落ち着いた。

新聞を読んでいたか、本を読んでいたか、それとも眠っていたか。
それは覚えていない。

しかし、何をやっていても体内時計が食事の時間を知らせるように電車から降りるその時間、あるいはタイミングを教えてくれる。

そして、いつもどおり日比谷に到着した。

  
「えー、この電車は代々木上原行きですが、予定を変更してこの駅止まりとなります。お急ぎのところ申し訳ございませんが・・・」

車内アナウンスが流れた。

隣の駅の霞ヶ関駅どまりはよくある。
車両基地があるからだ。
しかし、日比谷止まりありえない。

こっちはいつも通りの駅で降り、
今度は日比谷線に乗り換えるだけだから関係ないと言えば関係ないが。

そして乗り換えの階段をいつも通り下りようとすると・・・
階段にロープが張ってあった。、

何だ?

駅員の大きな声が聞こえる。

「危険ですのでこれ以上は入れません!
駅から出てください!」
「霞ヶ関か築地あたりで爆発があったようです!」



ここは日比谷だ・・・。

「あのぉ、通り抜けもできませんか?」

日比谷線のホームを抜け外に出ることも可能なはずだった。

「すみません。
日比谷線には入れません。
危険なので」
「どうしたんですか?」
「爆発って聞いてますが・・・、よくわかりません。
とにかく駅の外に出てください。」

何が危険なのかはわからなかったが、
駅員のただならぬ雰囲気を察し、
とりあえず地上に出た。

日比谷から皇居の隅をかすり神谷町・六本木方面へと歩く。

地上はいつもの朝と同じだ。

晴れていたし、それほど寒くなかったと思う。

救急車や消防車の音だったかがやけに響いていたと思う。

神谷町交差点がいつもと違う。

なんだ?

地下鉄出口の前に救急車が止まっていた。
でもそれは時々見かける光景でもあった。

いや何かが違った・・・。

薄茶色のコートを着た初老の人が座り込んでいたと記憶している。
爆発と関係がある?

やっとのことで地上に這い上がってきた。
そんな風景だった。

まさか地下でそんな大事になっているとは知らずに神谷町の交差点を抜け、
会社に到着した。

「なんか地下鉄が止まっちゃって日比谷から歩いてきましたよ。
どこかの駅で爆発があったとか・・・」
「そうなんですか!」


今でこそテロなどという言葉が日常化しているが、
当時日本ではそんなことがありえるはずもなく、
会話もたんたんとしていたと思う。

「なんか大変なことになってるようですよ」
「そう」

しばらくして

「一丁目のせいちゃんさん、お電話です。」
「誰から?」
「奥さんからです」

「もしもし?」
「あぁー、よかったぁ。大丈夫だった!」
「どうしたの?」

嫁さんが会社に電話してきたのは後にもこれが初めてだった。

「パートさんの更衣室にテレビがあって、
パートさんが教えてくれたんだ」

これ以上の記憶がない。
その後の記憶はおそらくすべてメディア情報だと思う。

15年前の今日。
前代未聞の事件が起こった。

運がよかった。
ただ、それだけだ。

少し前の千代田線に乗っていたら・・・。
日比谷線に乗り込んでいたら・・・。

その日の午前11時。

「えー、日比谷線の築地駅で、
遺留品から劇物のサリンとみられる物質が検出されたということです。」

そして夜のテレビでは、
築地や霞ヶ関、そしていつも使っていた神谷町の地下鉄出口が繰り返し映し出されていた。

今、『地下鉄サリン事件から15年』を家族で観ている。


「よかったぁ、パパが生きてて。
じゃないと私も生まれてなかったんだよね」

でも、亡くなった命もある、反対に生まれなかった命もあるはずだ・・・。
そして今も苦しんでいる人たちも・・・。

だからこそ、この事件は決して忘れてはいけないのだ。

 
posted by 一丁目のせいちゃん at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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